Vガンダム

Vガンダム 24話「首都攻防」

上昇志向をむき出しにするカテジナは、クロノクルに「野心」の有無を問う。彼女はクロノクルの「器の大きさ」を測り始めている。彼女は捕まえた男のグレードで自分の価値が決まると思っているのだろう。一応、今のポジションでも女王マリアの弟の女なのだか…

Vガンダム 23話「ザンスカール潜入」

ウッソたちはザンスカール本国に潜入するのだが、この間、視聴者は戦争の動向が分からない。ガンダムを「戦記物」として観ている視聴者は戸惑うと思う。物語のどこにピントが合っているのかよく分からないからだ。 過去のガンダム・シリーズは「連邦 VS ジオ…

Vガンダム 22話「宇宙の虎」

ここに到っても、ウッソの戦う動機は「シャクティを探すこと」だ。マーベットとジュンコは、軍人としての自覚が希薄なウッソを叱るのだが、最終的には彼を許してしまう。Vガンダムにおける女性たちは、自分自身でも自覚しているのだが、ウッソに甘い。 その…

Vガンダム 21話「戦略衛星を叩け」

派手なモビルスーツ戦、死力を尽くして戦う兵士たち。比較的力が入った作画と演出で、ロボットアニメらしい爽快感と、戦記物的な悲壮感が漂う。 しかし、観ていて何故か釈然としない。考えてみると双方ともに何のために戦って、死んでゆかねばならないのか、…

Vガンダム 20話「決戦前夜」

カイラスギリーの艦内で女王マリアの娘として扱われているシャクティを目にしたカテジナは、彼女の存在に苛立ちを覚える。 カテジナにしてみれば、クロノクルにしがみつくことで、やっとたどり着いたザンスカールという「ステージ」に、シャクティがその運と…

Vガンダム 19話「シャクティを探せ」

オデロ・ヘンリークは自他共に認める子供たちの兄貴分だ。この19話において彼はザンスカールの偵察部隊に対して勇敢にも戦いを挑む。「女を守るのが男の役目だろ!」。だがその戦い不要なものだった。しかもパイロットではないオデロは満足に戦うことも出来…

Vガンダム 18話「宇宙艦隊戦」

父の消息を尋ねるため、ウッソはリガ・ミリティアのリーダー、ジン・ジャハナムに会いに行く。だがこの(偽)ジン・ジャハナムは等身大を通り越して、あまりにも卑小な男だった。ウッソは彼の人間性に失望し苛立つ。マーベットがこの苛立ちをなだめてくれな…

Vガンダム 17話「帝国の女王」

総集編であると同時にザンスカールの正体が明かされる17話。 Vガンダムの放送当時、敵が国家や軍隊ではなくカルト教団であることに対して「リアルではない」という批判があったらしい。だがその2年後に本当に「某カルト教団」が毒ガスを散布してしまうのだか…

Vガンダム 16話「リーンホース浮上」

「主義者というのは、いつの時代も…」 16話に登場するザンスカールの将兵たちは比較的まともな大人だ。そんな彼らに、マーベットは「レジスタンスの抵抗運動に子供を利用するリガ・ミリティアは狂っている」と突っ込まれる。彼女は「ギロチンを止めさせるた…

Vガンダム「ファラ・グリフォン」

初登場時からファラ・グリフォンはレジスタンス運動や基地建設の遅延に悩まされていた。それなのにクロノクルという「上司の身内の新人研修」を押し付けられてしまう。特別待遇のクロノクルは他の部下からも嫌われおり、持て余すファラは「さっさと帰れ」と…

Vガンダム 15話「スペースダスト」

過去のガンダム・シリーズには「三国志」に登場するような英雄、すなわち己の力量一つで乱世を渡るカリスマたちが数多く登場してきた。シャアはもちろんシロッコやハマーン、マ・クベだってそうだろう。彼らの言動はファンを喜ばせ、ガンダムを痛快な娯楽作…

Vガンダム 14話「ジブラルタル攻防」

ビルドゥングス・ロマン(教養小説)の欠片も無い14話。ウッソは、宇宙に出ようとするカテジナを引き止めるようとするがそれが不可能だと知ると、今度は「自分も一緒に行く」と言い出す。以前からウッソの恋愛感情を鬱陶しがっていたカテジナは、食い下がる…

Vガンダム 13話「ジブラルタル空域」

ディスコミュニケーションが元となり、誰にとっても状況が悪化するとうという、富野的作劇法の基本が見て取れる。 リガ・ミリティアは、政治的に中立なPCST(宇宙引越し公社)に対して事前連絡なしでの協力を要請する。余裕がなかったとはいえ、ゴリ押しが過…

Vガンダム 12話「ギロチンを粉砕せよ」

富野作品には「擬似家族」というモチーフがよく登場する。そこでは常に家族への失望と、その代替としての擬似家族に向けた期待が語られる。親元を離れたアムロ・レイがホワイトベースの仲間たちへと向かっていったことを思い出して欲しい。(この家族から擬…

Vガンダム 11話「シュラク隊の防壁」

11話にみられる腐敗した地球連邦、ウッソとオデロの喧嘩、その喧嘩を見守るシュラク隊というのは「機能不全の男性社会で争う男たちを見守る、母性を持った女たち」という富野作品に共通のモチーフと綺麗に重ならないだろうか。 こうした「女たちに見守られな…

Vガンダム 10話「鮮烈!シュラク隊」

シュラク隊の存在はガンダム・シリーズにおける男の地位低下を意味している。ウッソの周りには、憧れや反発の対象となる「大人の男」がほどんど存在しない。その代わりに存在するのはウッソを際限なく甘やかしてしまう「母親気取りの女戦士」だけだ。 もちろ…

Vガンダム 9話「旅立ち」

生まれ故郷を嫌々ながら離れるウッソと、清々しい表情で出て行くカテジナ。彼女には故郷についてのよい思い出が無いのだろう。 これは成長しない(できない)ウッソと、成長したいカテジナの差が表れた瞬間でもある。過去のガンダムシリーズの主人公が全員「…

Vガンダム 8話「激闘!波状攻撃」

カテジナはザンスカールに合流したが、そこもまた彼女の理想郷ではなかった。ファラ・グリフォンからは「女は信用できない」と言われ、ピピニーデンからは召使い扱いされる。そしてこの8話では彼女を連れて帰ったクロノクルが同僚から嘲笑されることになる。…

Vガンダム 7話「ギロチンの音」

ファート・ガンダム以降、ロボットアニメは「どうやって、主人公に戦う理由を与えるか」という問題に苦心してきた。この7話はそういった「ロボットアニメの苦悩」がストレートに表れている回だ。 今どき、いきなり世ため人のために立ち上がってしまう熱血少…

Vガンダム 6話「戦士のかがやき」

クロノクルは、捕虜になったカテジナを丁寧に扱う。礼儀正しく正義感のある男なのだ。この瞬間、カテジナはクロノクルについて行くこと決める。今まで汚れた大人ばかりを目にしてきた彼女にとって、彼は高潔な白馬の騎士だったのだろう。事実、彼はザンスカ…

Vガンダム 5話「ゴッゾーラの反撃」

カテジナが大人社会への苛立ちを爆発させる。彼女の「子供を戦争に巻き込むな」という言い分は理屈の上では正しい。ただあの状況下であえて言うべきことだっただろうか。理屈が先走っている彼女には目の前の現実が見えない。いや、見えているのだがそれを受…

Vガンダム 4話「戦いは誰のために」

Vガンダムという作品はビルドゥングス・ロマン(教養小説)の否定からスタートしているようにみえる。 過去のガンダムシリーズにおける主人公の成長というのは、結局のところ立派な軍人になることであった。モビルスーツという兵器を操りながら、社会的な自…

Vガンダム 3話「ウッソの戦い」

カテジナの家庭の事情が明らかになる。母は若い男と不倫中。父はそんな母の姿を見て見ぬ振りをする。またその父はザンスカールの特殊部隊と裏取引をしている。彼なりに家族のことを考えた結果だろう。しかし、カテジナはそんなことはお構いなしに「自分たち…

Vガンダム 2話「マシンと会った日」

カテジナはほとんど登場しない。ウッソがカテジナにメールを送るシーンで一瞬登場するだけだ。だがその一瞬において彼女が「お嬢さま」と呼ばれる程度に裕福であることが分かる。 「ガンダムF91」までの登場人物が戦争に参加する理由は、少なくとも表向きは…

Vガンダム 1話「白いモビルスーツ」

Vガンダムの実質的な主人公がヒロインは「カテジナ・ルース」だ。しかし彼女の魅力は理解しづらいものがある。 そこで、これから1話ごとに彼女の言動を追っていきたい。これによって彼女と、そしてVガンダムという作品の魅力を伝えられればと思う。上手くま…

機動戦士Vガンダムのこと

機動戦士VガンダムがブルーレイDVD化されたらしい。「機動戦士Vガンダム」が“最高画質”で7月からBD-BOX化 - AV Watch いつものことながら富野由悠季はこの作品について否定的な発言を繰り返している。私はそれを非常にもったいないと思う。なぜならVガンダム…