Vガンダム 6話「戦士のかがやき」

クロノクルは、捕虜になったカテジナを丁寧に扱う。礼儀正しく正義感のある男なのだ。この瞬間、カテジナはクロノクルについて行くこと決める。今まで汚れた大人ばかりを目にしてきた彼女にとって、彼は高潔な白馬の騎士だったのだろう。事実、彼はザンスカール女王の弟なのだ。

ここでクロノクルのこれまでの言動を振り返ってみよう。ガリー・タンを労わり、スージーをトイレに連れていき、シャクティを崩れ落ちる瓦礫から庇い、ワタリー・ギラの非人道的な戦闘行為を非難し、カテジナを同僚の手から守る。ほとんど正義の味方、ここまでならVガンダム中で一位、二位を争うくらいの善人だ。だが軍人としてはモラリスト過ぎるというか、青臭くて頼りなくも見える。おそらくこれは彼がザンスカール女王の弟であり、世間擦れしていない「おぼっちゃん」だからだろう。そして、こんなクロノクルに惚れるカテジナもやはり「お嬢さん」だったのだろう。

もう一人のキーパーソンは「ワタリー・ギラ」だ。彼はガンダムパイロットが幼い子供であることに激しく動揺し、涙すらみせる。ここまでの彼の非情さから見ればかなり違和感のあるシーンで唐突な感が否めない。演出間違いの可能性もある。しかしのちに登場するザンスカール将兵たちの中には、ワタリーと同じように、ガンダムパイロットが子供であることを知ると激しく動揺する者が多い。このような、子供を巡る大人たちの言動は、Vガンダムという作品を読み解く上でのヒントになっていくと思う。