イングラム不正入札疑惑 (父との決別)

以前、遊馬が「イングラムの正統性」、すなわち「父の力の正当性」を疑っているのではないか、と書いたのだが、まさにその憂慮が的中したような事件が起きる。「イングラムの不正入札疑惑」だ。

 

この疑惑に対し、後藤は「イングラムの出自が多少不確かでも、これまで実績を積んできたからまあいいのではないか、目の前の仕事に集中しよう」という態度をとる。一方、それまでイングラムを信頼して搭乗してきた泉野明と太田功は、自分たちの「暴力の正当性」に疑念を抱き動揺してしまう。

結局この疑惑の真相は解明されないままに終わる。だが、野明はイングラムの実力、これまでの自分の努力、整備班への信頼などから、イングラムへの信頼を取り戻す。

 

これは、「イングラムの正当性」が、警察上層部や篠原重工業のような「外部」ではなく、その代わりに特車二課の「内部」から担保されるようになったということだ。そして「父の力」であったはずのイングラムが、その父と切り離されてしまった、ということでもある。