カテジナ日記

Vガンダムと富野由悠季作品

Vガンダム 21話 戦略衛星を叩け

これまでに繰り返されたスケールの小さい小競り合いとはうって変わり、ザンスカール、リガ・ミリティアの双方が全力でぶつかりあう。派手なモビルスーツ戦、死力を尽くして戦う兵士たち。過去のガンダムシリーズの中でも比較的力が入った作画と演出で、ロボットアニメらしい爽快感と、戦記物的な悲壮感が漂う。


しかし、何故か観ていて釈然としない。よく考えてみると双方ともに何のために戦って、死んでゆかねばならないのか、よく分からないのだ。もし、ここでザンスカールの兵士たちが「打倒地球連邦!」とか「地球のエリートめ!」みたいに叫べば、Vガンダムは一気に分かりやすくなると思う(ただし、地球連邦は最初から崩壊しているのだが)。視聴者はリガ・ミリティアザンスカールが、何を巡って争っているのか簡単に理解できるし、リガ・ミリティアだけでなくザンスカールに対しても感情移入が可能になるはずだ。


だが、実際のところザンスカールが戦う理由は、土地やお金が欲しいというのでもなければ、国家のためという訳でもない、「マリア主義」を宇宙に広め、女王マリアの母の愛で世界を包むことなのだ。おそらく、視聴者は彼らが何をしたいのよく分からないと思う。なんでそんなものが大事なの?と思うくらいだ。だから、いくら彼らが真剣に戦っていても何処か滑稽に見えてしまう。リガ・ミリティアにしても、そんな訳の分からない戦いに巻き込まれて傍迷惑なだけだろう。そして、こういうバカバカしい戦いで、無意味に人が死んでいっているようにしか見えないのがVガンダムという物語だ。男らしくてカッコいいジオン軍の将校が「ジオンの大儀」を掲げて死んでいくのとは違う。Vガンダムが苦手な人は多分この辺に理由があると思う。


だが実際、この作品の放送2年後に某カルト教団がテロ事件を起こしたが、そのときの世間の反応も「(悪い冗談のような、バカバカしい事件で)意味がよく分からない。だが、たしかに多くの人が死んだ」という戸惑いだった。人々を突然捕らえる、どこまでも無意味な死。Vガンダムの不愉快さ、気持ち悪さはそういうところから来ていると思う。