Vガンダム 26話「マリアとウッソ」

女王マリアを人質にとってザンスカールからの脱出を図ったウッソだが、クロノクルに強引に阻まれてしまう。このクロノクルの、実姉の身の安全を無視したように見える行動には少々驚かされる。実弟としての個人的立場よりも、軍人としての立場を優先したのだろう。過労で倒れたマリアを気遣うところを見ると、内心はかなりヒヤヒヤだったに違いない。

マリアやシャクティへの接し方を見ても分かる通り、クロノクルは基本的に優しい男である。しかしながらその一方で、彼は捕虜となったウッソを怒りのあまり殴り飛ばしてしまう。「男らしさ」に目覚めつつあるクロノクルにとって、今まで子供に翻弄されてきたという事実は我慢できるものではなかったのだろう。

それにしてもこのクロノクルの感情の起伏の激しさは面白い。これまでクロノクルは素直だ、と言ってきたのだが、何に対して素直なのかというと、実は「自分の感情」なのだ。スージーシャクティ、そしてカテジナ。その場その場の気まぐれで優しく振る舞い、カテジナに至っては連れ帰ってしまう。そして感情まかせに優しく振舞う男だからこそ、感情任せに子供を殴ってしまう。もちろん、こうした言動は誰にでもある程度見られるものだ。だが、クロノクルのそれは少々度が過ぎている。のちにカテジナがクロノクルのことを「そそっかしい」と評するが、これはかなり適切な表現だと思う。