Vガンダム「カテジナとウッソ」

「あなまたが此処までこなければ、こうはならなかった」

カテジナのこの台詞はメチャクチャを言ってるのだが、彼女からすれば、自分を追い込んだのはウッソなのだ。ウッソは天才パイロットで、リガミリティアのヒーローだ。その素直な性格から誰にでも愛され、何処へでもすぐに溶け込むことができる。これはカテジナと「正反対」の性質だ。カテジナもリガ・ミリティアに溶け込もうとしたのだが、彼女にウッソの素直さはなかったし、逆に頭でっかちが災いして、人間関係を損なってしまった。カテジナがクロノクルについて行ったのは、クロノクルがいい男だったのはもちろんだが、あの時すでに「自分の居場所がリガ・ミリティアには無い」と判断したからだ。カテジナにとってウッソとは、自分のコンプレックスをいちいち刺激してくる存在なのである。

その一方でカテジナはウッソの才能に引かれていた節がある。カテジナがリガ・ミリティアにいた頃にウッソを手に入れることが出来ていたら、彼女の人生は異なったものになっていたかもしれない。だがカテジナはウッソが自分の男にはならない、と判断したのだろう。これは逆襲のシャアにおけるクェス・パラヤと同じだ。クェスはアムロが自分の男(父親)にならないと判断したから、シャアの許に走ったのだ。

そんなカテジナにとって、ウッソというのは「昔振った男」だ。それにも関わらず、その男は、必死で捕まえた今の男(クロノクル)より、明らかにハイスペックなのだ。その上、ウッソはカテジナザンスカールに居るのは間違っているという。「努力して手に入れた今の自分」を、悪気も無く、直感と才能であっさり否定してくるのがウッソなのだ。彼女の苛立ちは理解できなくもない。