Vガンダム 39話「光の翼の歌」

ウッソたちの前に「立派な大人の男」(?)が立ちはだかる三十九話。敵を撃墜することをためらうウッソと、全く躊躇しようとしないマチス大尉のコントラストが印象的だ。迷いを見せている間のウッソは弱く、迷わないマチスは強さを見せるのだが…。

何もかも理解し納得済みで死んでいったランバ・ラルと違い、このマチス・ワーカー大尉は「家族を守る」という男らしい信念を貫こうとした結果、「勘違い」で死んでしまう。このシーンが悲しいのは彼が死んだからではなく、彼がひたすら「空回りしている」からである。別にマチス大尉がラルより劣っていた、という訳ではないだろう。おそらく彼の生きた時代が、連邦とジオンの二項対立で理解できる程度に単純だった宇宙世紀0079年と違って、ずっと複雑で理解しにくい時代だったのだ。ラルのような強い男が存在しない、というよりも、存在することが許されないのが、この宇宙世紀0153年なのかもしれない。