Vガンダム 50話「憎しみが呼ぶ対決」

「クロノクルは私に優しかったんだ!」

家庭、故郷、リガ・ミリティア。何処にも居場所のないカテジナにとって、ザンスカールとクロノクルだけが「巣」であり、それさえ手に入れられれば彼女は何処にいたってよかったのだ。しかし、その場所すらシャクティという「お姫様」に蹂躙されしまった。そう、いつも大切にされるのはシャクティ(とウッソ)なのだ。

カテジナには「人生に意味や目的が欲しい。価値あることがしたい」という想いがあった。だから、彼女は「革命」や「(王子様との)恋愛」に走ったのだ。それは同時に「特別でありたい、人とは違った存在でありたい」という欲求に簡単に結びつく。「その他大勢」としての人生には意味がないからだ。

彼女がウッソやシャクティを嫌っていたのも納得だろう。何故なら、ウッソたちこそ、才能がありながらも「その他大勢の人生」を生きて行ける「スペシャル」な存在だからだ。歴史の中に埋もれてゆくことを平然と受け入れられるウッソやシャクティが、彼女は憎かったのだ。しかも皮肉なことに、そんなウッソやシャクティこそが「ヒーロー」と「お姫様」で、いっぽうの彼女は、何処まで行っても、ただの「お嬢さん」止まりなのだ。