Vガンダム 9話「旅立ち」

生まれ故郷を嫌々ながら離れるウッソと、清々しい表情で出て行くカテジナ。彼女には故郷についてのよい思い出が無いのだろう。

これは成長しない(できない)ウッソと、成長したいカテジナの差が表れた瞬間でもある。過去のガンダムシリーズの主人公が全員「故郷を離れることで自立していった」ことを思い出して欲しい。繰り返すがカテジナはウッソよりも過去の主人公に近いのだ。

またこの回ではカテジナがその「上昇志向」をはっきりと表にあらわす。「ザンスカールのやり方を学びたい」「前に進みたい」等々の発言だ。こうした彼女の成長への意欲は真っ当なものに思える。しかしリガ・ミリティアはNGだがザンスカールならOKだ、という判断はどこから来たのだろうか。しかもすでに彼女はザンスカールにも違和感を抱いている。彼女は仲間になったはずのザンスカール特殊部隊のメンバーと目すらあわそうとしない。にもかかわらず「ザンスカールのやり方を学ぶ」とはどういう意味なのだろう。さらに違和感を受けるのが、彼女の「このままでは世界は絶望的よ」という発言だ。どうもいきなり大きなことを言い出している感が否めない。

おそらく彼女は成長を焦っているのだろう。「このままでは私たち駄目になってしまう」という彼女自身の発言がそれを裏付けている。だが最終的にはこの焦りに彼女は足をすくわれることになる。

一方のウッソだが、彼もまた少しづつ成長しようとする。だがこれも結局のところあまり成功しない。それについてはシュラク隊の登場以降に触れたいと思う。