廃棄物13号 (前) (特撮の伝統)

そこに含まれるある種の文明批評、アメリカの影……この廃棄物13号のエピソードは特撮映画の伝統を正しく引き継いでいる。

 

パトレイバー連載当時は「ロボットもの」というカテゴリ自体が衰退していたのだが、それはこの特撮映画も同じであった。かわりに当時のサブカルチャーを席巻していたのはドラクエ系ファンタジーである(平成ゴジラシリーズはその復活の狼煙を上げてはいたのだが)。

そのような状況下で欲求不満になっていたのか、作者はこのコミックス版パトレイバーに「ロボットと怪獣」という、ある世代のオタクにとってのお子様ランチのようなエピソードを突っ込んでしまう。

 

自分の好物を思い切り詰め込んだためであろうか。全体的に作者が伸び伸びと描いている印象を受ける。実際その内容も、落ちこぼれの第二小隊が、「あの」第一小隊を従えて、世間の期待を背負いながら(地球防衛軍ばりに)活躍するという、コミックス中もっとも爽快感のあるエピソードとなっている。