Vガンダム 12話「ギロチンを粉砕せよ」

富野作品には「擬似家族」というモチーフがよく登場する。そこでは常に家族への失望と、その代替としての擬似家族に向けた期待が語られる。親元を離れたアムロ・レイホワイトベースの仲間たちへと向かっていったことを思い出して欲しい。(この家族から擬似家族への移行というのは、ファースト・ガンダムにおける社会変革への期待と平仄があっている)

だがそんなに簡単に擬似家族が作れるものなのだろうか。この12話に登場する初老の男、ロブはウッソと擬似家族を作ることを求めるが、やんわりと拒絶されてしまう。彼が求めているのは擬似家族ではなく本当の両親なのだ。

Vガンダムでは、このような大人からの擬似家族の提案と、それを拒否して本物の両親を求めるウッソ(子供)、という構図が繰り返し描かれていく。しかし物語後半で明らかになるように、ウッソの本物の両親もまた正気ではない。これは家族と擬似家族の限界を探る物語なのだ。