Vガンダム 49話「天使の輪の上で」

タシロはカガチに反旗を翻すという、野心家らしい行動には出るものの、軍事力はファラに頼っているし、戦後の統治は女王マリアに任せるという。視聴者は「じゃあ、お前自身は一体何をやるんだ」と突っ込みたくなる。そのくせ彼は女達に対して支配的に振舞っているのだから性質が悪い。しかしVガン世界の女達は、こういった女性に対する支配と依存を繰り返す男達の存在をなんとなく許しており、そんな彼らの尻拭いのために死んでゆく。

そんな中、たった一人、弱い男達の姿に苛立っているのがカテジナだ。露骨にクロノクルの尻を引っぱたき始めたことから分かるように、彼女は男の子が女性に対して抱く「幻想」に対して徹底的に冷淡で、絶対に男を甘やかさない。

そして、この49話でとうとう彼女は、ウッソが自分に押し付けてきた甘ったるい「少女幻想」を完全破壊するための暴挙に出る。ネネカ隊特攻。それは「生身の、少年を傷つける女たち」を特攻させ、ウッソに彼女達を殺害するように無理矢理仕向ける作戦である。ネネカ隊を全滅させたウッソは、カテジナへの憎しみから、初めて彼女を殺そうとする。カテジナにとっては、これがショックだったらしい。「幻を振り切り、私のことまで振り切ったか…」。カテジナは寂しく、自嘲気味に笑う。本当の私の姿なんて、誰も愛さない、と。

ちなみに、このエピソードにショックを受けたと言われているのが、「エヴァンゲリオン」の監督、庵野秀明だ。「強くて優しい美少女に甘えるな」とウッソを罵倒するカテジナの姿は、その2年後に「惣流・アスカ・ラングレー」として復活することになる。