Vガンダム 23話「ザンスカール潜入」

ウッソたちはザンスカール本国に潜入するのだが、この間、視聴者は戦争の動向が分からない。ガンダムを「戦記物」として観ている視聴者は戸惑うと思う。物語のどこにピントが合っているのかよく分からないからだ。

過去のガンダム・シリーズは「連邦 VS ジオン」あるいは「エゥーゴ VS ティターンズ VS アクシズ」といったように、複数の軍事勢力が激突する戦記物としての要素が強い。主人公も軍属として戦争に参加するため、そのストーリーは極度に単純化すれば「敵味方のどちらが勝つのか」という一点に集約される。

だがVガンダムは異なる。ウッソを始めとする子供たちは、地球、宇宙、コロニーといった様々な場所を冒険し、そこで多くの大人と出会っていく。物語全体の構図が、巨大な軍事勢力の激突ではなく、「子供 VS 大人(社会)」なのだ。

もちろん、ファースト・ガンダムZガンダムにそういった要素が無いわけではない。だが、Vガンダムは主人公の動機が「両親探し」であることからも分かるように、前半は戦記物というよりも「母をたずねて三千里」に近いと思う。ファースト・ガンダムから14年、ガンダムは「母についての物語」になったのである。